2023 年度 春学期 授業感想

春はいつだって気持ち新たに

2023 年度学期に筑波大学で開講された授業の感想をまとめたものです。
あくまでも個人の主観に基づいた評価です。

情報メディア実験A(GC41103)

  • 春 ABC、水 3–4, 金 5–6 限、3.0 単位、3 年次
  • 対面・オンライン併用(受講する実験による)
  • 情報メディア創成学類 必修

前期、後期で一つずつ実験テーマを選択する。テーマ毎に定員があり、定員を超過した場合は抽選により決定する。 私は組み込み技術キャンパス OJT(COJT)を通年で選択した。 組み込みとあるものの、ソフトウェアコースは数人のチームを組んで Web 開発を扱う。 三学に 24 時間入れる綺麗な実験部屋が貰えたり、寄付金で打ち上げや懇親会に行ける謎の多い授業。おすすめです。

課題・成績評価

  • 出席

6 回以上欠席すると単位が出ず留年となる。 COJT では対面での出席が必須。 レポート等は特に課されず、成績の評価基準は不明。

情報デザインII(GC24101)

  • 春 AB、月 3 限、1.0 単位、3–4 年次
  • 対面

先生の的確なアドバイスと大胆な発想が垣間見える大変優良な授業。 デザインに興味のある/デザインが好きなメ創人間は絶対に取るべき。 Adobe Photoshop, Illustrator が扱えることが前提条件。

各回で課題(後述)が出され、その課題に対してレビューや相互講評を実施する。 扱う内容は主にタイポグラフィ・レイアウト・配色等多岐に渡る。 特にタイポグラフィに対する熱量は高く、細かい文字組み等までしっかりと見てくれる。 情報デザイン I(GC24101)の受講を前提とするが必須ではなく、他学群からの受講者も一定数存在した。

課題・成績評価

  • 各回の課題(100 %)

課題ごとにテーマが設けられており、ブックデザイン(表紙・裏表紙)、ポスター、雑誌のエディトリアルデザイン(表紙、裏表紙の広告)、ゲームのパッケージデザイン(最終課題)を 7 週程度に分けて行う。 受講者の熱量も高く、かなり高いレベルが要求される。既存の出版物等をモチーフにするか、独自に新たな作品を考案するかは自由。 最終課題は 3 週に分けて行う。 あくまで文字組みやレイアウトに主眼を置いた授業であるため、グラフィックを描くことまでは要求されず、適当な素材をネットから拾ってきて流用することも許される。

ソフトウェア構成(GC52701)

  • 春 AB、金 3–4、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面

コンパイラを作ることを目的とした授業。 授業前半で軽くオートマトン等に触れた後、実際にコーディング(Ruby)を通じて字句・構文・意味解析器を作成する。 授業後半では PL/0 へのコンパイルや JVM, yacc 等についても扱う。 手を動かすことにかなりの重点が置かれており、相応のコーディング力が要求される。 プログラミング(GC12701)と同様に資料の充実さは圧巻で、講義資料通りにコードを書いていくと自ずとコンパイラが完成していて感動した。

課題・成績評価

  • 出席(0 %)
  • 期末試験(100 %、対面)

紙媒体での提出であるため対面での出席が必須。 期末試験は 2 時間 45 分に亘る超長丁場で、オートマトンに関する出題(紙媒体に記入)と、実際にコンパイラを書く(manaba 上で提出)2 題に大きく分かれる。 講義資料やインターネット等の参照も可能。

単位取得には最低限、BNF(厳密には BNF っぽい記法)から再帰的下向き構文解析を書けることが必須。 これは落単必至か?と思われたものの、なんだかんだで成績は良かった模様。

プログラム言語論(GC22201)

  • 春 AB、木 1–2、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面・オンライン(オンデマンド)併用(選択可能)

関数型プログラミング(Lisp)、ラムダ計算、論理プログラミング(Prolog)、オブジェクト指向プログラミング(Ruby, Java)等の各種パラダイムを扱う。 プログラミング言語の特性に気持ちがあればかなり面白いはず。 対面・オンラインどちらで受講してもよく、最終週などは対面での受講者は 10 人未満で先生が寂しそうだった。

課題・成績評価

  • 出席確認(0 %)
  • レポート(50 %、各 12.5 % ずつ)
  • 期末試験(対面、50 %)

出席確認は manaba 上のアンケート。レポートは択一式問題や要求されたプログラムの回答、用語の調査など。期末試験も同様の形式。 レポート・期末試験ともに難易度はそれほど高くないが、レポートに真面目に取り組もうと思うとそれなりに時間が掛かる。 過去の講義サイトに期末試験の過去問が公式に落ちているので要チェック。

情報可視化(GC54091)

  • 春 AB、月 5–6 限、2.0 単位、3–4 年次
  • オンライン(オンデマンド+同時双方向)

情報可視化入門」を読み進める授業。 ゲシュタルト効果、視覚性質、データ・色彩の扱いといった概念と、具体的な各種データの表現手法について学ぶ。

課題・成績評価

  • 出席確認(0 %)
  • 中間・期末レポート(100 %、各 50 %)

出席確認は manaba 上のアンケートに回答する。6 回以上の出席が必須。 授業に先行して教科書を読む必要があり、扱う章で印象に残ったキーワードについて解説する。 加えて、講義動画を視聴し、その中に登場したキーワードを列挙する。 提出しないと 5 点ずつ減点されるが、提出しても特に加点はない。

中間レポートで提示されたデータを可視化し、期末レポートではその可視化に関する模擬試験の問題を作成する。 レポートの要件に「独創性がないと減点」と言及があったが、レポートとして内容や体裁が整っていればそうした減点は特に見られなかった。

マークアップ言語(GC51901)

  • 春 AB、月 1–2 限、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面

XML の基礎構文と XSLT, XPath を用いた文書変換を扱う。 講義自体は対面だが、特に出席確認等はない。klis との合同授業で、初回授業は教室から溢れる程度の受講者が居たが、徐々に人が減っていったのが印象的だった。

課題・成績評価

  • 各回のレポート
  • 最終レポート

各回の課題では、設問に沿った XSLT スタイルシートや XPath を回答する。 課題の難易度は低め。 最終レポートでは、XSLT と CGI を組み合わせた Web アプリケーションを構築し、動作内容等をソースコードと伴に報告する。 JavaScript や CSS は特に評価されないが、評価は全体的に甘め。

音声・音響学基礎(GC23601)

  • 春 AB、木 3–4、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面・オンライン(オンデマンド)併用

音の原理や受け取り方、人間の発声の方法といった仕組みと、その分析方法に関する内容を扱う。 全く知らない分野なのでへーと思いながら毎回聞いていた。 基本はオンデマンド。たまに対面授業があり、ストロー笛を作る工作的(?)な要素があった。

課題・成績評価

  • 各回のレポート(40 %)
  • 最終レポート(60 %)

各回のレポートでは、教科書 2–3 章分を A4 判 2–3 ページ程度で要約する。 最終レポートでは自分の声を録音した上で、Audacity を用いてでフォルマント等の特徴を分析する。 その結果や考察を実験レポートとしてまとめる。

インタラクティブCG(GC50701)

  • 春 AB、木 5–6、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面

OpenGL, FLTK 等を用いたコンピュータグラフィックスや GUI を扱う。 講義で使用するためのソースコード群が予め用意されており、穴埋めのような感じでコードを足していくことで演習を進める。 環境構築にかなり手間取った。全体的に演習内容はアドホックな感じで、授業の内容を一般的な CG 制作に活用することは難しいように感じた。

課題・成績評価

  • 各回のレポート・演習問題(100 %)

レポートでは、概ね講義 3 週分程度の内容について、演習用ソフトウェアに追加するべきコードを回答する。 結構分量が多いので間違っても最終日に数時間程度で済ませようと考えてはいけない(友人はそれで課題提出を度々逃していた)。 演習問題は回によって内容がまちまち。遅延提出でも 1 点程度の減点であるため、遅れても取り敢えず提出することが重要。

データベースシステムI(GC52001)

  • 春 BC、金 1–2、2.0 単位、3–4 年次
  • 対面

データベースの理論や実装について学ぶ。 各回で理論と演習に分かれ、演習パートではRedis や Flask 等の実践的な技術スタックを扱っていた。 難易度は低すぎず高すぎず、資料も非常に充実している。

課題・成績評価

  • 各回のレポートまたは小テスト
  • 最終レポート

最終レポートではデータベース(MySQL, MongoDB, Redis のいずれか)を用いた Web アプリケーションを作成する。

知識・自然言語処理(GC53901)

  • 春 C、木 4–6、1.0 単位、3–4 年次
  • 対面・オンライン(オンデマンド)併用

確率的形態素解析や Viterbi アルゴリズム等の自然言語処理を扱う。 出席確認は存在せず、対面でもオンデマンド動画でも受講可能。 先生がやさしい。

課題・成績評価

  • 期末試験(80 %)
  • 最終レポート(20 %)

期末試験は過去問が公式に配布され、その過去問に沿って対策をすれば高得点が期待できる。 対策しないと少し難しいかも。 最終レポートは mecab を用いた演習で、難易度は低い。